飛騨高山蒸溜所のある高根地区は、季節を問わず深い霧が発生する湿潤な地域。ウイスキーの香味を花開かせる貯蔵熟成に適した、理想的な環境といえます。さらに、この地域は一級河川・飛騨川の水源地としても知られ、豊富な水量を誇ります。北アルプスで濾過された清冽な水は味や品質に直接影響し、他にない豊かな味わいを実現するでしょう。
HISTORY
蒸留所の歴史過去・現在・未来がつながる、
物語のある蒸溜所
飛騨高山が世界的な観光地である所以は、世代を超えて受け継がれてきた歴史と文化があるからです。先人たちが伝統的な建物や祭りを大切に守り次世代に伝えてきたからこそ、観光地としての今日の賑わいが生まれました。
同じように、ウイスキー製造も時間をかけて次世代へと受け継がれてきました。熟成を経て生まれるウイスキーは、まさに先人たちが築き上げた伝統文化そのもの。そして飛騨高山蒸溜所がある旧高根小学校もまた、地域の人たちが大切に守り、受け継いできた場所です。
旧高根小学校は開校以来子どもたちを見守ってきましたが、2007年、人口減を理由に廃校となりました。しかし、地域の方にとって学校は宝物。「小学校最後の日」に子どもたちが書いた黒板のメッセージは現在も保存されています。地域に宿る「宝物を守る気持ち」に導かれ、縁と偶然が重なった結果、旧高根小学校は飛騨高山蒸溜所として新たな道を歩むことになりました。過去から現在まで多くの想いが宿った場で、時を超えるウイスキーをつくる。それが飛騨高山蒸溜所にできることです。
飛騨高山の風土・気候について
自然のサイクルの一部となる蒸溜所
飛騨高山蒸溜所では、「人間が生み出すものを使い切る責任」を強く意識したウイスキー作りを進めています。ウイスキーの製造過程で出る麦芽の搾りかす(麦粕)を飛騨牛の餌とする活動もそのひとつ。副産物を地元の産業に再利用することで、飛騨の循環サイクルを支えています。
このように、飛騨高山蒸溜所は、持続可能な地域社会の構築に貢献し、SDGsの目標にも沿った活動を心がけています。
PHOTO GALLERY
FACILITY
蒸留所の設備蒸留器「ZEMON Ⅱ」について
ウイスキー作りに欠かせない単式蒸留器(ポットスチル)。飛騨高山蒸溜所では、世界初の鋳造製蒸留器「ZEMON」をさらに改良した「ZEMON Ⅱ」を使用しています。
ZEMON及びZEMON Ⅱは、クラフトウイスキー蒸溜所として非常に人気の高い三郎丸蒸溜所(富山県砺波市)代表の稲垣貴彦さん発案、日本の寺社仏閣で見られる梵鐘の約7割を手掛ける国内最大手の鋳造品メーカー老子製作所(富山県高岡市)による制作です。
銅板を叩いて成形する「鍛造」という方法でつくられる一般的な単式蒸留器とは異なり、鋳型に溶かした銅を流し込んで成形する方法で作られたZEMON及びZEMON Ⅱ。熱伝導率の高さのほか、ウイスキーの原料に含まれる硫黄臭などの不快なフレーバーを取り除いてくれるなど、ウイスキーの品質をより高める作用があります。
飛騨高山生まれの樽
「HIDA BARREL」
飛騨高山蒸溜所ではファーストフィルのバーボン樽をメインに使用していますが、飛騨高山の家具メーカー日進木工が製造するアメリカンオーク樽「HIDA BARREL」も使用します。HIDA BARRELは「良いウイスキーは良い樽から生まれる」という考えのもと、飛騨地域の職人の腕で作られる国産樽。樽作りを通し、飛騨の匠の技術と心を表現しています。
木と清流の国から生まれる
「オール岐阜県産のウイスキー」も目指して
飛騨高山蒸溜所では、輸入した麦芽や熟成樽だけでウイスキーを造るのではなく、豊富な自然資源を活かし岐阜県で造られた素材にこだわった「オール岐阜県産ウイスキー」の製造も目指しています。県内で製造された大麦と清らかな飛騨の水によって生み出されたウイスキーの原酒を、飛騨の匠の技術によって造り出した樽「HIDA BARREL」で熟成。原料から熟成までが地域ストーリーでつながった「オール岐阜県産ウイスキー」は、木と清流の国ならではのクラフトウイスキーとなることでしょう。
蒸留(ポットスチル)
国産鋳造型蒸留器「ZEMONⅡ」で醪を蒸留し、ニューメイク(貯蔵前原酒)が生み出されます。
樽詰(フィリング)
出来たニューメイク(貯蔵前原酒)が様々な樽に詰められ、熟成庫で出荷まで眠りにつきます。
麦粕しぼり(スクリュープレス)
マッシュ後の麦粕を更に搾り上げることで、飛騨牛のエサとして地域循環されます。
糖化(マッシュタン)
粉砕した麦芽に湯水を加え糖化を促すことで、甘い麦汁が抽出できます。
発酵(ウォッシュバック)
麦汁を移し酵母を加え、4日程度発酵させることで、アルコール度数7~8%の醪が出来上がります。
見学(キャットウォーク)
旧体育館がフル活用された蒸留所全体を、2Fから見下ろすような角度で見学できます。
飛騨高山蒸溜所の設備概要
麦芽仕込量 | 500Kg / ワンバッチ |
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麦芽 | ノンピート麦芽をメインで使用 |
マッシュタン | セミロイタータン チーマン製 |
発酵槽 | オーク製4,200L×2、ラーチ製4,200L×2 |
蒸留器 | ZEMON Ⅱ 老子製作所製(初留器2,600L、再留器2,200L) |
木樽 | ファーストフィルバーボルバレルをメインで使用 |
面積規模 | 敷地全体 2900㎡、蒸溜所(体育館) 390㎡ |
製造時期 | 3月~11月を予定(冬季は日本酒製造へ) |
COMPANY
会社概要社名 | 有限会社舩坂酒造店 [Webサイト] |
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所在地 | 本社:〒506-0846 岐阜県高山市上三之町105番地 蒸溜所:〒509-3413 岐阜県高山市高根町下之向164-2 |
TEL | 0577-32-00160577-32-0016 / Fax: 0577-32-2824(本社) |
創業 | 1703年04月01日 |
代表 | 代表取締役社長 有巣弘城 |
事業内容 | 日本酒・リキュール・ウイスキーの製造・販売 飲食店経営・土産物小売 |