樽詰めから始まる、何年後かの一杯

樽詰めから始まる、何年後かの一杯

●樽は、原酒を育てる存在です

樽は、原酒を入れておくだけの容器ではありません。

木の種類や大きさ、これまでどのように使われてきたかによって、原酒に与える色や香りは変わります。同じ原酒を詰めた場合でも、使用する樽や熟成する時間によって、その後の育ち方は異なります。

そのため、樽詰めの仕事は、原酒に合う樽を選ぶところから始まります。

●樽の状態を一本ずつ確認します
使用する樽を決めた後は、その状態を丁寧に確認します。

樽から液体が漏れないか、傷や問題がないか、長い熟成に耐えられる状態かを一本ずつ確かめます。

樽の中で原酒が過ごす時間は、何年にも及びます。熟成中の原酒を守るためには、樽詰め前の地道な確認が欠かせません。

●透明な原酒を樽へ詰めます
樽の準備が整ったら、樽詰めに適した状態へ整えた原酒を、ゆっくりと樽へ入れていきます。

この時点の原酒は、まだ透明です。私たちがグラスの中で目にする琥珀色は、最初から付いているものではありません。

原酒が樽の中で長い時間を過ごし、木と触れ合うことによって、色や香りが少しずつ生まれていきます。

●樽を閉じ、記録を残します
原酒を詰め終えたら、樽の口をしっかりと閉じます。その後、樽から原酒が漏れていないかを改めて確認します。

さらに、詰めた日付や原酒、使用した樽などの情報を一本ずつ記録します。この記録は、樽がどのような時間を歩み、どのように育ったのかを後から確かめるための大切な手掛かりになります。

すべての確認と記録を終えた樽は、長い熟成へと送り出されます。

樽詰めを構成する一つひとつの工程は、静かで地道な作業です。しかし、その積み重ねが何年後かの味と香りを支えます。

今日詰めた透明な原酒が、飛騨高山の地でどのように変化し、どのような一杯へ育っていくのか。その答えを知るのは、まだ何年も先です。

次にバーでウイスキーを注文するときは、グラスの中の色や香りとともに、その一杯が樽へ詰められた日のことも想像していただけましたら幸いです。

飛騨高山蒸溜所では、ウイスキーができるまでの工程や、それを支える造り手の仕事をこれからも発信してまいります。